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「富の偏在」を考えると生じる「私は私のものか?」という疑問

どうも。

今回は「格差社会」についてです。

こちらの記事を読ませて頂いて考えたことです。


富の偏在について思うこと - ICHIROYAのブログ

 

記事の中で紹介されているTED動画は、実際の超富豪であるニック・ハノーアー氏が格差社会について語っているので、大変勉強になります。

TEDの中では、ニック氏によって格差社会の危機について、経済学的に鋭い観点で指摘がされています。(中産階級に投資をしようという主張です)しかし、道徳的観点での考察が少し足りないので、その点を考えたいと思います。

 

「私は私のものか?」

ニック氏は格差社会の是正について、道徳的に考えなければならない問題を提示しています。それは「私は私のものか?」という問題です。順を追って説明します。

まず、ニック氏は格差社会の是正のために、中産階級の人々に投資しようと言っています。具体的には、最低賃金を2倍にするなどの試みです。しかし、最低賃金を2倍するには財源が必要です。それはどこから来るのでしょう?もちろん、たくさん稼いでる人から税金を取るということになります。累進課税という制度ですね。最低賃金を大きく上げるには当然、税率も上げなければなりません。たくさん稼いでいるお金持ちは、もちろん嫌がります。

しかし、ニック氏はここでこんな発言をします。

でも正直に言います 私はズバ抜けて賢くはありません 最も勤勉な人物でもありません 学生時代は平凡でした 技術も全然ありません プログラムも書けません まさに私の成功は 出生、境遇、タイミングにおける 驚くほどの幸運の結果なのです。

ニック氏が言いたいことはつまりこういうことです。

 

「私の成功は本当に私のものか?」

 

累進課税や公平な社会を考えるとき、私たちはこの問いに必ず直面します。所得税が30%のとき、国(政府)は「我々の仕事の成果や時間」について30%の所有権を持っていることになります。所得税が60%ならば、自分が仕事に費やした時間や成果について、国はその半分以上を所有する権利を持っていることになります。

その時にはこう思うはずです。「私の仕事に対する成果は私のものではないのか?」と。

先に引用したニック氏の言葉はこれに対して「NO」ということになります。(特に大金持ちについては)

よくオリンピックの金メダリストがインタビューでこう答えます。「金メダルを取れたのは、支えてくれた家族や仲間、応援してくれた人のおかげです。」

確かにその通りなのだと思います。成功には、出生、境遇、タイミングが必要です。ただ、これを全て認めてしまうと、自分の成功も、それに費やした時間も、しいては自分という存在さえも「自分のもの」とは言えなくなってしまいます。

 

だから、累進課税や公平な税制について考えるとき、私たちは、「私は私のものか?」という疑問を考えなくてはならないのです。もちろん、逆の問題もあります。「私は私のものである」ということを完全に認めてしまうと、自殺や自殺幇助、臓器売買、代理出産など、様々な倫理的な問題について肯定してしまうことになったりもします。

 

だから、私たちは「私の何が私のもの」で「何が私のものではない」のか、考えなければならないと思います。

そのことが、格差を考える最初の一歩になるのではないでしょうか?

 

今回は『これからの「正義」の話をしよう』第3章 私は私のものか?ーリバタリアニズム(自由至上主義)より、考えの大部分を拝借しております。

また、記事を考えるきっかけを下さったICHIROYAのブログ様、ありがとうございました。

それでは!

 

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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