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自由な働き方・生き方を考えるブログ

「わしがここにおる理由が、やっと分かったんじゃ」

 

あなたが今ここにいる理由は?

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photo by davidyuweb

 今日のタイトルは、ドラマ「流星ワゴン」の中で、香川照之が演じる「チュウさん」というキャラが言っていたセリフ。チュウさんには「ここにいる理由」が分かったらしい。僕には、まだ自分がここにいる理由は分からない。チュウさんは、数十年前から、タイムスリップしてやってきた。僕は日々を積み重ねて、今まできた。僕のほうが、ずっと分かっていいはずなのに、どうしてだろう?

 今、ここにいる理由は何かと問われて、答えることは難しい。でも本当に大切なのは、問いに答えることよりも、問いを認識することの方に違いない。なぜなら、人間が抱える問題の多くは、答えなどないものだからだ。仮に答えがあったとしても、ちょっとしたことで変わってしまうことが多い。つい最近も、実は朝食は食べなくても問題ないという記事を読んだばかりだ。

 しかし、人の抱える問題は変わらないと思う。何百年と哲学者が問題にしてきたことは、今でも考えるに値することばかりだ。人間には自由な意思があるか、魂はどこにあるか。哲学においては、正しく答えることに価値はなく、正しく問えることに価値があるという。考えるに値する問題を見つけることは、簡単なようで難しい。

 会社を辞めてから、将来という言葉を使うことを止めた。将来という言葉は、今、ここにいる理由を曖昧にするからだ。「生物と無生物のあいだ」によると、「生きている」ということは、「現象」なのだそうだ。雨の後に、虹がでることと変わらないということだ。どんな瞬間も虹だけど、どんな瞬間も同じ虹はない。僕の中では、細胞が絶えず死に、絶えず生まれ、僕という現象を創りだしている。生きているということは、ダイナミックな動きの中で釣り合いがとれているということなんだ。

 今ここにいる理由に悩み苦しむ必要はない。僕らの命は、雨上がりの虹のように儚いものだ。儚く消えてしまう命なら、せめて誰かの心に、虹のような感動として残ることを考えるべきではないか?それが今、ここにいる理由になりえないだろうか。

 「流星ワゴン」、視聴率イマイチらしいけれど、良いドラマだと思う。チュウさんが「ここにいる理由」とは何かを想像しながら、次回を楽しみに待ちたい。

ーーー自宅でデコポンを食べながら

 

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

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